YamadaGeneral2017


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4F交流サロン2F階段・廊下1F札の辻ラウンジInterviewメーカーだからこその提案で、限界値を塗り替える。他メーカーなら断られるかもしれません。中村コンクリート打設のときに照明位置まで決めてしまっている。通常ならあまり考えられないことで、これは私たちメーカーと直接やり取りするからこそ実現した特徴的なデザインです。栗原市庁舎そのものをオープンにするというテーマもあって、1階のコミュニティエリアでは地元の学生が読書したり図書館みたいに使っていたりもするんですよね。昆野市職員が働いている執務スペースは白色の光の方が仕事モードになっていいと思うんですが、コミュニティエリアはホテルのロビーのように安らぎのある雰囲気があってもいいよねということになって電球色を採用しています。同じエリアで異なる色温度を意図的に計画することは特徴のひとつとなるので、違和感がないかCGで何度も検証しました。他に同じような事例がないかも、かなり調べました。栗原メーカーとして、照明デザイナーさんや設計事務所さんに提供できるメリットは他に何かあるかな。栗原今回は設計事務所と、着工前の基本設計段階から直接組んで進めた面白いプロジェクトだったんです。中村設計事務所が考えた建物全体のコンセプトをもとに、まずはこの街や建物に似合う照明計画のコンセプトをたてました。メーカーだからといって器具のことだけを考えているわけではありません。大切なのは光についてのコンセプトであり、最初の打合せでは器具の話はほとんどしなかったと思います。栗原この案件を通して、メーカーが入るからこそのメリットを知ってもらいたいですね。中村例えば1階の30メートル続くペンダント照明は、天井の意匠性を壊さぬように、コンクリート躯体から直接吊す必要がありました。メーカーの私たちが直接意見できることで、実現可能かどうか、こうやればもっとうまくいくというような改善策など、時間的ロスを少なく、とにかく具体的に話が進みました。昆野この長いペンダント照明。何気なく見えますけど、ものすごく大変なことなんですよね。中村「ないものは作ってみる」という選択肢をどこまで気軽に提供できるかは重要だと思います。今回、最終的には標準品を使用しましたが、当初2階から上層の天井には輻射パネルを使うという話もあって、そこにどのように照明をいれるのか特注図面を描くチームが検証していました。山田照明って他メーカーよりも限界値が高いですよね。普通なら難しいから断ったり、違う方法を模索したりするようなところを、「なんかできそうじゃない?」と図面を描き始めたりしてしまうところがありますね。昆野今回は建築の基本設計段階で実現可能かどうか判断し、最終的にもフォローをしっかり行うというメーカーならではのメリットが発揮された案件でした。中村私たちの限界値もまた、一段と上がったような気がします。写真左から:開発設計部栗原保志(プロジェクトリーダー)、昆野知彦(CG担当)、中村大輔(コンセプト・プランニング担当)


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